特別養護老人ホーム(特養)への入所を希望しながら、入所できていない高齢者のこと。保育所での保育を申し込んでも空きがなくて入れない待機児童のように、入所待ちになっていることからこう呼ばれる。特養は、身体や精神上の障害のため常に介護が必要で、在宅での介護が困難な65歳以上の人が対象。社会福祉法人と自治体のみに設立が許可されている。介護保険が適用できるため民間の有料老人ホームに比べて費用面での負担が軽いこと、日常生活の世話や健康管理などのサービスを受けられることから人気が高く、介護保険制度がスタートした2000年から入所希望者が増えた。しかし、運営費の大半を介護保険でまかなっているため財政への負担が大きく、安易に新設できないことから、都市部を中心に全国で入所待ちが常態化。増え続ける待機老人の問題が注目されるようになった。14年3月の厚生労働省発表によると、13年度の特養入所待ち高齢者の数は52万4000人に上り、前回調査の09年度から約10万人増加。介護保険法が改正され15年4月からは原則、要介護度3以上の認定を受けた人しか新たに特養に入所できなくなったが、高齢化が進む中、待機老人はさらに増加すると予想されている。