正社員と同様に無期雇用を原則としたうえで、職務や勤務地、勤務時間を限定した雇用形態。ジョブ型正社員と呼ばれることもある。正社員は、職種や勤務地などに制限がないために、特定の能力や技能を集中して身につけにくく、長時間労働や不本意な転勤を強いられることもある。それに比べて、限定正社員は、給与水準は低く昇進に上限があることも多いが、一定程度の雇用の安定は確保されており、正規雇用と非正規雇用の中間的な形態といえる。近年、育児や介護といった事情を抱える人などが働きやすくなる仕組みとして注目されつつあり、厚生労働省が2011年に実施した調査によると、従業員300人以上の企業の約半数が同様の制度をすでに導入。第2次安倍政権が13年6月にまとめた日本再興戦略(成長戦略)でも、成長産業への労働力移動や女性の就業などを後押しし、正規雇用と非正規雇用の二極化傾向にある労働環境を改善するため、普及推進の方針が盛り込まれた。一方で、経済界には職務や勤務地がなくなれば該当する社員を解雇できるよう法制化を望む声もある。こうした動きに対し、労働組合などからは、工場や事業所の閉鎖による限定正社員の一斉解雇が可能になるなどの批判が起きている。また、限定正社員は、正社員の解雇を容易にし、雇用の不安定化、賃金の低水準化にもつながり得る制度だという指摘もある。