何らかの原因で脳の血管中に空気が入り込み、血液が流れなくなることによって起こる疾患。症状は程度によってさまざまで、錯乱や部分まひ、感覚の消失、意識の喪失、けいれんなどが見られる。重度の場合、死に至ることもある。発症したらすぐに横に寝かせて酸素を与え、高気圧の環境にして血管内の気泡を縮小、消滅させる処置を行う。空気塞栓症は脳のほか肺などでも見られ、潜水中のダイバーが急に浮上したときなどに水圧が下がって血液内に気泡が生じ、血流が妨げられて起こるケースが多い。ダイバーの死亡原因として最も多く見られる。外傷や手術時に損傷した血管から空気が流入して起こることもあり、ごくまれには高純度のヘリウムガスの吸引によって起こることもある。2015年1月、アイドルグループ「3B junior」のメンバーである12歳の少女が、テレビ番組の収録中にヘリウムガスを一気に吸い込んで一時意識不明となり、救急搬送される事故が発生。少女は脳空気塞栓症と診断された。番組で用いられたのは、酸素が20%含まれたパーティーグッズのヘリウムガスだったが、急激に吸い込んだことにより発症に至ったと見られている。