首都直下地震が発生した際に、国や自治体がどのように対応するかをまとめた計画。2016年3月29日に中央防災会議幹事会で決定され、内閣府が発表した。正式名称は、「首都直下地震における具体的な応急対策活動に関する計画」。首都直下地震対策特別措置法により、15年3月31日に閣議決定された「首都直下地震緊急対策推進基本計画」に基づいてまとめられた。首都直下地震の発生確率は30年以内に70%とされ、マグニチュード7級の地震が発生した場合、最悪のケースで死者約2万3000人、要救助者約7万2000人、建物の全壊・全焼約61万棟、帰宅困難者は最大800万人で東京都内だけで500万人に及ぶと想定されている。同計画によれば、東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県の応援部隊として、全国から警察約1万4000人、消防約1万6000人、自衛隊約11万人の計約14万人を動員。また、生存率が急激に下がる「発生から72時間」までの救助活動を優先するため、主要道路93カ所を緊急輸送ルートに指定し、車両の通行規制などを実施して、人員や救援物資の輸送が迅速、円滑に行われるようにする。ルート沿いには、進出拠点35カ所、救助活動拠点231カ所、航空搬送拠点49カ所などの防災拠点を設ける。医療活動については、1都3県の150に上る災害拠点病院を活用し、全国から呼び寄せた災害派遣医療チーム(DMAT)が対応に当たるほか、羽田空港など6カ所を航空搬送拠点として臨時の医療施設を開設する。食料などの必要物資に関しては、地震発生後3日目までは自治体や家庭の備蓄で対応。4~7日目に食料5300万食、毛布34万枚などが必要になると試算し、知事らの要請がなくても、政府が8カ所の広域物資輸送拠点に物資を届ける「プッシュ型支援」で対応する。帰宅困難者に対しては、応急対策の妨げにならないよう、帰宅の抑制を呼びかけ、徹底することとしている。