企業が求人票に実際とは異なる好条件を記載して求職者を募り、入社後に求人票よりも不利な条件で働かせること。ブラック企業問題に取り組むNPO法人「POSSE」代表の今野晴貴が2015年に命名した。求人詐欺にあたるケースとしては、(1)残業代や手当などをあらかじめ含んだ額を提示し給与を水増しする(この場合、残業がどのくらい長時間なのか基本給はいくらなのかが明確にされない)、(2)正社員として募集したにもかかわらず、採用後に非正規社員として働かせる、(3)裁量労働制(与えられた仕事の進め方を労働者自身が決められ一定時間働いたとみなす制度)を悪用し、幹部候補などと称して長時間労働になっても残業代を支払わない、(4)社員を形式上、社長として独立させ、労働法の適用外にする、の四つがあるという。ハローワークなどに登録されている求人票でもこうした行為が横行しているとされ、14年度に求人の記載内容についてハローワークに寄せられた苦情は前年度から3割増しの約1万2000件に上った。こうした事態を受け、16年6月には厚生労働省の有識者検討会が、ハローワークや民間の職業紹介事業者に条件を偽った求人を出した企業を対象として、懲役刑を含む罰則を加える法改正をすべきとする報告書をまとめた。