多数の傷病者が発生する集団救急事故などの場合に、素早く応急救護の拠点を開設することを目的とした救急車。平常時は大型バス程度の大きさで、緊急時には車体の両側を広げることにより、床面積を増やしてベッドを設置することができる。災害現場での応急救護拠点のほか、軽傷者の一時収容場所、大規模な祭礼時の消防警備での一時的な救護所としても使用する。東京消防庁には特殊救急車の名称で2台配備されている(全長11メートル、高さ3.78メートル、幅2.5メートル、室内面積最大約40平方メートル、ベッド最大8床設置)。2015年6月2日には京都市消防局が政令市として初めて、高度救急救護車の名称で導入し、本格的に運用を開始した(全長11.99メートル、高さ3.74メートル、幅2.49メートル、室内面積最大約33平方メートル、ベッド最大6床設置)。また、高度救急救護車には手術室などで用いられる無影灯が2台設置されていて、簡易な手術を行うことも可能。高度救急救護車は、12年4月に発生した京都市祇園での軽ワゴン車暴走事故後の検証委員会において、集団救急事故現場では早期に応急救護拠点を開く必要性があると指摘されたことを受け、導入が決まった。同市南区の消防活動総合センターに配備され、主に特殊車両を運用する特別装備隊が運用を担当。17年度からは、京都市立病院の敷地内に移設される新四条消防出張所(仮称)に配備される予定となっている。