主に大企業や政府、自治体などが、市民活動家、ジャーナリストらによる批判の抑圧を目的として、名誉毀損や業務妨害を理由に民事裁判に訴えることを指す。英語表記の頭文字を取った略語で、1984年にアメリカのデンバー大学のジョージ・W・プリング教授とペネロペ・キャナン教授が作り出した概念。威圧訴訟、恫喝訴訟とも呼ばれる。近年、日本でも、訴えられた側がスラップ訴訟であると主張する例が相次いでいる。アメリカでは80年代、消費者運動などを行った市民らに対するスラップ訴訟が多発し、表現の自由への弾圧であるとの批判から、90年代以降に半数以上の州で防止法を制定。裁判所が初期段階でスラップ訴訟と認定すると訴訟が打ち切られ、訴えた側が訴訟費用を負担することになる。日本でも法的規制を求める声が上がっているが、スラップ訴訟に対する認識が薄いため、線引きをどのようにするかなど議論を深めていく必要がある。