がんの手術や筋萎縮性側索硬化症(ALS)などで声を発することができなくなった患者が利用する、会話補助器の音声合成システム技術を向上させるための学術研究プロジェクト。正式名称は「日本語Voice Bank プロジェクト」。国立情報学研究所(NII)の山岸順一准教授がプロジェクトリーダーを務め、イギリスのエディンバラ大学と共同で進めている。ボイスバンクの研究は、山岸准教授が2011年にエディンバラ大学で始めた。性別や年齢など、障害者本人と似た特徴の声のデータを複数集め、本人の声のデータに混ぜ合わせることで、誰もが聞きやすい、高品質な障害者自身の音声を合成できる。NIIでは、この技術を日本語でも応用するために、13年から声のデータ収集に協力するボランティアの募集を開始。収集した声のデータと障害者本人の声のデータをもとに「個人用音声合成システム」を作成し、iPhoneやiPad用のiOSアプリ、DynaVoxなどの重度障害者用意思伝達装置向けのソフトとして、無償で提供することを目指している。