2011年3月の東京電力福島第一原子力発電所事故に関して、事故発生当時の所長だった吉田昌郎(13年7月に死去)から政府事故調査・検証委員会が聞き取った証言の記録。同委員会では772人の関係者から聴取を行っており、吉田元所長への聴取は11年7月から11月にかけて、数度にわたって行われ、事故時の現場の状況や、対応などについての同氏の発言が記録された。調書の内容について、同氏は発言が独り歩きする可能性を危惧(きぐ)して公開しないよう求める上申書を生前に提出しており、当初、政府はそれを理由に非公開としてきた。しかし、14年5月に朝日新聞が調書を独自入手したとする記事を掲載したことをきっかけに、報道が過熱化したことから方針を転換。個人情報や第三者の権利、国の安全に関わる部分は黒塗りとしたうえで、同年9月11日、菅直人元首相や枝野幸男元官房長官ら18人分の調書と同時に内閣官房ホームページ(http://www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/hearing_koukai/hearing_list.html)で全文公開された。