熱中症の診断基準や予防、治療の方法などをまとめた指針。日本救急医学会の「熱中症に関する委員会」がまとめ、2015年3月に発行した。全国の救命救急センターや大学病院などを対象に隔年で実施している熱中症の全国調査「Heatstroke STUDY」(HsS)や、過去の国内外の報告に基づき、「熱中症の診断基準は、どのようなものか?」「熱中症の予防・治療には何を飲めばよいか」など11の設問に答える形で、熱中症の診断、治療、予後における指針を示している。指針では、熱中症の重症度について、I度からIII度の3段階に分類。めまいや立ちくらみなどがあり、現場での応急処置で対応可能な状態をI度、頭痛や嘔吐(おうと)があり、医療機関での診察が必要な状態をII度、意識障害や内臓障害が起こり、入院が必要な状態をIII度と定めた。また、予防や治療には濃度0.1~0.2%の食塩水を摂取することを推奨しており、一般的には市販の経口補水液が望ましいと記している。熱中症に関するこうした指針がまとめられたのは国内外で初めてで、同学会では、医療関係者だけではなく、教育や介護の現場でも役立つとしている。ガイドラインは同学会のウェブサイトで公開されている。