日本全国のがん患者の情報を収集し、一元管理する制度。2013年12月に成立し、16年1月1日に施行された「がん登録等の推進に関する法律」(がん登録推進法)に基づき、同月に開始された。この制度では、がんの診断、治療に携わる全国約8500の病院と一部の診療所は、がんと診断された患者の情報を都道府県に届け出ることが義務付けられる。届け出の対象となる情報は、氏名や性別、年齢、がんの種類、進行度、治療内容など26項目。届け出に患者の同意は必要なく、患者が登録を拒否したり、自分の情報の削除を請求したりすることはできない。届け出られた情報は都道府県を通じて国立がん研究センターに設置される全国がん登録データベースに集められ、市町村から提供される死亡情報とも照合される。がん患者の情報収集に関しては従来、各都道府県が行う地域がん登録や、がん診療連携拠点病院を中心に医療機関が行う院内がん登録、専門学会などによる臓器別がん登録が行われてきが、各自治体や医療機関レベルでの登録のため、重複や漏れが生じるなど情報の正確性に課題を抱えていた。新制度で情報を一元管理することによって国内の患者の人数や生存率がより正確に把握できるようになり、治療の効果や地域差などの検証、がん対策の立案に役立つことが期待されている。16年に登録された情報は集計されて18年12月ごろに公開され、23年末ごろ頃に5年生存率も公表される。