1954年にアメリカが太平洋のマーシャル諸島ビキニ環礁で水爆実験を行った際、周辺海域で操業していた元漁民らが起こした国家賠償請求訴訟。原告は主に高知県の漁船の元船員とその遺族ら45人で、日本政府は事前に同実験による被ばく状況の調査結果を把握していたにもかかわらず、元船員らの支援団体である「太平洋核被災支援センター」(高知県宿毛市)による2014年の請求に応じるまで長年にわたって資料を開示せず、アメリカ側への補償請求機会が失われ、精神的な打撃を被ったと主張。16年5月9日、国に対して一人当たり200万円の慰謝料を求める集団訴訟を高知地裁に提訴した。同実験に関する国家賠償請求訴訟は全国で初めて。1955年1月に、被ばくした第五福竜丸の元船員らに対してアメリカ側から見舞金(200万ドル)を支払うことで政治決着が図られているが、訴訟では追加調査や補償を行ってこなかった国の責任を追及する。2016年2月には、本訴訟の原告のうち10人が、周辺海域で被ばくし、後にがんなどを発症したとして、全国健康保険協会に対して船員保険の適用を申請している。