患者自身の血液中に含まれている成長・増殖因子のこと、またそれを用いて、骨や歯を再生させる技術。1990年代後半に、スペインのエドウアルド・アニチュア博士が開発した。PRGFとは、Plasma(血漿)、Rich(豊富)、Growth(成長・増殖)、Factors(複数の因子)の略。治療ではまず、患者から20cc程度の血液を採取。それを8分間遠心分離機にかけると赤血球、白血球、血漿(けっしょう)に分かれ、血漿はさらに3層に分かれる。そのうち、白血球層のすぐ上の部分が血小板成長因子を多く含むPRGFである。ただし、採取の過程では血小板が活性化されず、成長因子も放出されていないため、アクチベーターという装置で血小板を活性化させ成長因子を分泌させる。活性化したPRGFは、内部の温度を長時間一定に保つように制御された恒温槽に置いてゲル状に固まるまで待ち、形成して用いる。骨の修復や再生に重要な役割を果たす多数のたんぱく質や成長因子が放出され、幹細胞の分裂、コラーゲン形成などによって治癒を促す。他の生物や他人の組織から取り出した成分を一切含まず、自身の体内成分のみを用いるため、安全で確実な治療が可能となる。近年、歯科分野では、歯周病などで失われた歯を支えている骨の再生などに活用され、大きな効果を上げている。この技術はスポーツ医学でも応用されており、サッカー選手のクリスティアーノ・ロナウドやリオネル・メッシ、本田圭佑、テニス選手のラファエル・ナダルなどがひざのけがの際にPRGFの治療を受け、早期復帰を果たしている。