バイオセーフティレベルは、世界保健機関(WHO)が定めた、感染症の病原体の分類基準で、BSL1からBSL4の4段階のうち、BSL4は最も感染能力が高く、有効な治療や予防法がない病原体のグループを指す。このグループの病原体には、天然痘ウイルス、エボラウイルス、マールブルクウイルス、クリミア・コンゴ出血熱ウイルス、ラッサウイルス、南米出血熱ウイルス、ニパウイルス、ヘンドラウイルスが含まれる。これらBSL4病原体の診断や研究に対応できる、高い安全性を備えた施設をBSL4施設と呼ぶ。2014年11月現在、稼働していないものも含めると、世界19カ国に40以上のBSL4施設がある。日本では整備が遅れており、1981年に国立感染症研究所村山庁舎(東京都武蔵村山市)、84年に理化学研究所バイオリソースセンター(茨城県つくば市)が、BSL4に対応できる施設として建設されたが、地元住民の反対が強くBSL4施設としては稼働していない。長崎大学でもBSL4施設の設置を検討しているが、住民から反対の声が上がっている。2014年以降、感染が各国に広がっているエボラ出血熱が日本国内で発生した場合、現状のままでは患者からウイルスを分離して確定診断を下すことができず、治療薬開発の基礎研究などもできないことから、BSL4施設を早期に稼働すべきとの声が強まっている。14年11月17日には、塩崎恭久厚生労働大臣と武蔵村山市の藤野勝市長が、国立感染症研究所村山庁舎をBSL4施設として稼働させるための協議を進めることで合意した。