台風や、低気圧の接近に伴う豪雨など、予想可能な災害の発生に備えて、自治体や住民などが前もって取るべき行動、対応を定めておく防災の取り組み。日本型タイムライン式対応計画と呼ばれることもある。災害による被害を軽減するため、災害発生が想定される数日前から、自治体、消防、警察、鉄道会社、電力会社、住民などが、各自の役割や、防災設備の点検、避難所の開設、避難の呼びかけといった対応を始めるタイムスケジュールをあらかじめ決めて整理しておく。それにより、各段階での判断の迷いを減らし、対応が後手に回ることを防ぐのがねらい。もとは2005年、ハリケーン・カトリーナによって多大な被害が出た後のアメリカで始まった取り組みで、12年10月に東海岸地域を襲ったハリケーン・サンディの発生時にニューヨーク市やニュージャージー州などで本格的に運用され、被害の拡大防止に一定の効果を上げたことで日本でも注目されるようになった。11年9月の台風12号による豪雨で大きな被害を受けた三重県紀宝町が14年2月からこうした計画の策定に着手したほか、13年10月に大雨による土砂災害が発生した東京都大島町(伊豆大島)や、愛知県名古屋市、高知県大豊町などでも導入、検討が進められている。また、国土交通省も14年4月に、国が管理する109水系の河川に関して、事前防災行動計画の策定を開始。7月から適用を進めている。同年10月の台風19号では、JR西日本が事前の計画に基づき、同月13日午後の京阪神地区での全線運休を前日のうちに発表したことが話題になった。