舌の表面に見られる白っぽい苔(こけ)状の付着物。古くなって剥がれ落ちた口腔粘膜の細胞や細菌、白血球、食べ物の残りかすなどから成る。唾液(だえき)の分泌不足で口が渇いたとき、口内炎、咽頭炎、扁桃炎、胃腸炎などの消化器疾患、熱性疾患、血管や神経の病気などの際によく見られる。適度な量であれば口内環境を整えてくれるが、量が多くなると違和感や味覚異常が生じ、口臭の原因ともなり得る。健康な人でも体調によって色や量が変化するため、体調や病気の診断にも役立つことがある。舌苔自体は病気ではないので治療は必要ないが、原因疾患があれば治療を行う。へらなどでこすり取ると、粘膜を傷つけてほかの病気につながることがある。舌苔には舌の表面を保護する役割もあるため、過度に取り除くとかえって舌苔がつきやすくなり唾液の分泌にも悪影響を及ぼすことがある。舌苔が厚くなるのを防ぐには、食後の歯みがきやうがいを行い、口の中を清潔に保つことが必要である。