統合失調症の患者に対して行われる、関係者による対話を中心とした薬物を用いない治療法。「開かれた対話」という意味で、正式には「急性精神病における開かれた対話によるアプローチ」と呼ばれる。フィンランドの西ラップランド地方にあるケロプダス病院で1980年代に開発、実践が始められた。統合失調症発症初期の患者や家族から相談があると、すぐに治療チームが組まれ、24時間以内に最初のミーティングが実施される。参加するのは患者自身をはじめ、家族、親せき、医師、看護師、心理士など。全員が対等な立場で治療方針などについて話し合う。対話は最長で1時間半ほど行われ、状態が改善するまでほぼ毎日続ける。薬物治療や入院の是非についても、患者自身のいないところでは決定しない。この治療法を導入した結果、同地方では統合失調症の入院治療期間が平均19日短縮され、通常の治療と比べて予後も良好になるなどの成果を上げることができたという。近年、ドキュメンタリー映画を通して世界各国で知られるようになり、日本では15年7月に精神科医の斎藤環による著訳書「オープンダイアローグとは何か」(医学書院刊)も出版されて注目を集めている。