山腹や川底の土砂・岩石などが大量の水と一体になり、粥(かゆ)状になって谷や斜面を流れ落ちる自然災害。山津波、鉄砲水などとも呼ばれる。「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(土砂災害防止法)」第2条では、「山腹が崩壊して生じた土石等又は渓流の土石等が水と一体となって流下する自然現象」と定義されている。大木や大きな岩塊を巻き込むこともあり、それらが先頭になって時速20~40キロのスピードで一気に流れ落ちることから破壊力が大きく、家屋の倒壊や人命にかかわる甚大な被害を及ぼすことも多い。そのほとんどは長雨や集中豪雨に伴って生じるが、火山の爆発、地震による山腹の崩壊などが原因となって起こることもある。2013年8月9日の大雨によって秋田県仙北市田沢湖田沢の供養佛(くようぶつ)地区で生じた土石流では、死者6人、負傷者2人、人家全壊5戸、人家半壊1戸の被害が生じた。土石流対策としては、砂防ダムやスリット型の砂防えん堤などが用いられる。