フラビウイルスを保有するマダニにかまれることによって感染する人畜共通感染症。感染したヤギやヒツジなどの未殺菌の乳を飲んで感染することもあるとされるが、人から人へ感染することはない。主なものに、ロシア春秋脳炎と中央ヨーロッパ脳炎がある。1~2週間の潜伏期間の後、発熱や筋肉痛などインフルエンザに似た症状が現れ、そのうち約3分の1は髄膜脳炎に進展し、けいれんやめまい、知覚異常などが見られることがある。重症の場合は、死に至ることもある。特別な治療法はないため、対症療法で当たるしかない。感染を防ぐためには、山林や草やぶに入る際に長袖、長ズボンを着用する、虫除けスプレーを使用するなどの対策を取ることが重要である。世界では毎年6000人以上の患者が発生し、多い年は1万人に及ぶこともある。流行地域では、野外での活動が多いなど感染の可能性が高い人に対して、ワクチン接種が行われることがある。日本では、感染症法で四類感染症に分類されており、診断した医療機関は直ちに保健所に届出をする必要がある。2016年8月13日、同年7月中旬に北海道内の草やぶでマダニにかまれた40代の男性がダニ媒介脳炎を発症し死亡。国内での感染確認は、1993年に北海道で見つかって以来2例目で、死亡例は国内初となる。