フィンランドのオルキルオト島の地下に建設が進められている、原子力発電所から出る放射性廃棄物の最終処分場。名称は、フィンランド語で「洞窟」の意味。1994年、フィンランド議会が原子力エネルギー法を改正し、放射性廃棄物の輸出入や国外での再処分を禁じたことから、建設が決定された。2004年からフィンランドの合弁企業ポシヴァ社によって建設が進められ、20年までに操業を始める予定。高レベル放射性廃棄物である使用済み燃料は、仮保管所で50年間冷却され、黒鉛鋳鉄でできた蜂の巣状の筒に格納され、次に純銅製のカプセルに収納される。さらに、カプセルの周りを耐水性のベントナイト粘土で覆った上で、地下420メートルのトンネル内の花崗岩(かこうがん)を掘削した縦穴に保管する。こうした「多重バリア」と呼ばれる処置によって、放射能漏れは少なくとも10万年は防止できるとされている。施設は最大9000トンの廃棄物を収納できる。計画では、操業を開始して100年間にわたって廃棄物を受け入れ、満杯になった後、トンネルごと埋め戻され、永久に封鎖される。09年にヨーロッパで制作された高レベル放射性廃棄物の処理を取材したドキュメンタリー映画、「100,000年後の安全(原題Into Eternity)」で取り上げられ、知られるようになった。日本でも11年に公開され、大きな話題となった。