火山噴火や地震などによって山体が崩壊したり、火山体の不安定な部分が崩壊したりして表層なだれのように高速で流れ落ちる現象。火砕流とともに、最も危険な火山現象の一つである。水をほとんど含まず、空気や水蒸気などの火山ガスと火山灰や細かく粉砕された岩石などが混ざった厚い層が、一気に斜面を流下する。流動性が非常に高く、流下速度は時速100キロメートルを超えることもある。湖などの水域に流れ込むと、火山性の津波を引き起こすことがある。過去に日本では、1792年の現・長崎県島原市の眉山(まゆやま)の山体崩壊、1984年の長野県西部地震に伴う山体崩壊などの際に発生している。2016年4月14日午後9時26分以降、熊本市を中心に連続して地震が発生した平成28年熊本地震で、南阿蘇村の高野台団地を襲い、5人が犠牲となった土砂災害の原因が岩屑なだれであったことが、熊本大学の宮縁育夫准教授が行った調査によって明らかとなった。