土星の衛星の一つで、土星から2番目に近い公転軌道を回る。1789年にイギリスの天文学者ウィリアム・ハーシェルによって発見された。名前はギリシャ神話の巨人にちなんで付けられ、ほかに「エンケラドゥス」「エンセラドス」「エンセラダス」などの表記も用いられる。直径は約500キロメートルで、表面は氷に覆われている。2005年以降、無人土星探査機カッシーニの観測により、南極付近にあるひび割れから有機物を含む水蒸気や氷の粒子を噴き出していることが判明。その後、南極周辺の氷の下には広大な地下海が存在することも明らかになった。カッシーニが採取した噴出物には、主に二酸化ケイ素(シリカ)からなるナノシリカ粒子が含まれており、10~13年に東京大学や海洋研究開発機構(JAMSTEC)などの国際研究チームがナノシリカ生成のメカニズムを研究。実験の結果、生成には90度以上の熱水が必要であることがわかった。これにより、エンケラドスの地下海には、生命の誕生に必要な水、有機物、エネルギー(熱)の三つがそろっている可能性が高くなり、地球以外で生命を育むことができる環境の現存が初めて実証された。