湖の表層の水と湖底の水が完全に混ざり合う現象。たとえば日本の琵琶湖は、冬場になると表面付近の水が外気によって冷やされて湖底に沈み込み、対流が起こって上下の水が混ざり合う。酸素を豊富に含んだ水が深い湖底まで届けられる年に一度の貴重な現象で、「琵琶湖の深呼吸」とも呼ばれている。毎年、琵琶湖環境科学研究センター(滋賀県大津市)が水深約90メートルの北湖湖底などを調べて判断しており、例年1~2月に湖底付近の1リットルあたりの溶存酸素濃度が各調査地点で一様に10ミリグラムを超え、全循環が確認される。しかし、2016年は暖冬の影響から3月14日になってようやく確認され、1979年の観測開始以来、2007年の3月19日に次いで2番目に遅い記録となった。07年時には湖底の低酸素化のため、イサザやスジエビの大量死が報告された。低酸素化は魚の成育にも影響を与えることから、同センターでは注意深く調査を継続していくとしている。