ペットボトルなどの素材となる合成樹脂ポリエチレンテレフタレート(PET)を分解して、栄養分にする細菌。2016年3月10日、京都工芸繊維大学、慶應義塾大学などの研究グループが同細菌の発見を発表し、同月11日付のアメリカの科学雑誌「サイエンス」に研究成果が掲載された。細菌の正式名称は、イデオネラ・サカイエンシス201-F6。2000年、京都工芸繊維大学の小田耕平名誉教授らが大阪府堺市のごみ捨て場で採取した微生物群から見つかったことにちなんで命名された。同研究グループは、この微生物群を厚さ0.2ミリのPETフィルムとともに培養。数週間後にPETフィルムにさまざまな微生物が集まって分解している様子を発見し、そこから強力なPET分解細菌を特定した。また、細菌が「PETase」と「MHETase」の2種類の酵素を使って、PETを最終的に水と二酸化炭素に分解する仕組みも解明した。同グループの発見は、自然の生物ではPETは分解されないという従来の常識を覆すもので、ペットボトルのリサイクル効率化、エネルギー消費が少ない新たなリサイクル技術の開発につながるものと期待を集めている。