森田浩介九州大学大学院教授を中心とする理化学研究所の研究グループが発見した原子番号113の元素。自然界には存在せず、人工的に合成された元素であり、合成から平均0.002秒で崩壊を起こして別の元素に変わる。森田教授らは、重イオン加速器を使って原子番号30番の亜鉛を光速の10分の1の速さまで加速させ、原子番号83番のビスマスに衝突させる実験を2003年から繰り返し、04年7月と05年4月に核融合反応による合成に成功。12年8月にも3回目の合成に成功した。3回目の合成では、合成された元素がアルファ崩壊を繰り返して既知の元素に変化していく過程が確認され、15年12月に国際純正・応用化学連合(IUPAC)が新元素であると認定した。認定までの間、新元素にはウンウントリウム(Uut)という仮称がつけられていたが、認定によって発見者である森田教授らのグループが命名権を獲得。16年3月に日本にちなんだ「ニホニウム」を提案し、同年6月8日にIUPACが名称案を発表した。元素記号は「Nh」となる。5カ月間の意見募集を経て、16年内に正式決定される見通し。決定されれば、欧米以外の研究者、グループが命名した初の元素となる。