アメリカ化学会有機部門が2年に一度、有機化学の分野で優れた業績を上げた研究者に対して授与する賞。アメリカの化学者であるロジャー・アダムス(1889~1971年)にちなんで59年に設立され、同分野では世界で最も権威がある賞とされている。2015年までに29人が受賞しており、うち11人がノーベル化学賞を受賞している。アメリカ化学会は2016年8月22日、17年の同賞受賞者を発表。日本化学会会長の山本尚中部大学教授が選ばれた。山本教授は有機物同士の反応を活性化させる触媒の研究に取り組み、キラル・ルイス酸触媒を使って、目的の化合物を効率的に作り出す分子性酸触媒という手法を確立。新たな研究分野を切り開いた業績が評価された。この技術は、医薬品の開発など幅広い分野で用いられている。日本人の同賞受賞は、01年の野依良治名古屋大学特別教授(01年、ノーベル化学賞受賞)に次いで2人目となる。