南日本の太平洋岸から琉球列島、インド洋、西太平洋にかけて生息するウナギ目アナゴ科の海水魚。体長は最大30~40センチで、体の直径は約1センチ。白地に黒い水玉模様の体色をしており、体側のえらぶたなどに大きな黒い斑点がある。顔つきがイヌのチンに似ていることから、この和名がつけられた。学名は「Heteroconger hassi」。サンゴ礁の砂底で群れをつくり、穴を掘って暮らす。体の半分ほどを砂穴から出して立ち、潮の流れの方向に顔を向けて、ただよってくる動物性プランクトンなどを食べる習性がある。そのため、生息する海底では、同じ方向を向いて揺れながら立つチンアナゴの群れを見ることができる。こうした習性や外見がかわいらしいと人気が高まり、2010年10月にはインターネットの動画投稿サイトで公開された「ちんあなごのうた」が話題になった。また、13年11月には、立った姿が数字の「1」に似ていることにちなんで、毎年11月11日を「チンアナゴの日」とするようすみだ水族館(東京都墨田区)が申請し、一般社団法人日本記念日協会(長野県佐久市)によって認定された。