火星に滞在する宇宙飛行士の居住のため、氷を材料として建設する施設の構想。火星の氷の家。2035年ごろの実現を目指す有人火星探査に向けて、NASA(アメリカ航空宇宙局)が募集した施設の設計コンペ「3D Printed Habitat Challenge」に応募された案の一つ。同コンペは、火星探査に赴いた宇宙飛行士4人が1年間滞在すると想定し、火星環境下で安全、快適に過ごすことができる施設のアイデアを募った。火星に存在する材料と3Dプリンターを用い、宇宙飛行士が到着する前に完成させられることが条件。「MARS ICE HOUSE」を設計したのは建築家の曽野正之氏ら8人のチームで、火星の極地に大量にある氷を材料に用いるプラン。遠隔操作されたロボットが地下の氷を採掘後、溶かして添加剤を混ぜたうえで3Dプリンターに流し込み、再凍結させながら外壁などを作るというもの。氷の特性により放射線などから居住者を守るうえ、太陽光が施設内部まで届くことで健康管理にも役立つという。コンペに応募された160件以上のアイデアの中で唯一、氷に着目した点などが評価され、15年9月27日の最終選考で最優秀賞に選ばれた。賞金は2万5000ドル(約300万円)。