人々を笑わせ、考えさせる研究に対して贈られる賞。1991年に創設され、アメリカの科学雑誌「Annals of Improbable Research」などが主催している。賞の名称は、ノーベル賞の創始者「Nobel」に、否定の意味の接頭辞「Ig」をつけた造語。ノーベル賞のパロディー版で、「裏のノーベル賞」とも呼ばれる。部門は開催年によって異なるが、物理学賞、化学賞、平和賞、文学賞、経済学賞などがあり、毎年10の個人やグループに対して授与される。独創性に富んだ研究や地道な研究に脚光を当てる一方、皮肉や風刺として授与されることもあり、受賞者が授与を喜ばない場合もある。日本人の受賞では、2002年に犬語翻訳機「バウリンガル」開発者が平和賞、13年にタマネギの催涙成分を作る酵素を発見したハウス食品などのグループが化学賞、14年にはバナナの皮の滑りやすさを証明した北里大学医療衛生学部の馬渕清資(きよし)教授らのグループが物理学賞、15年にはキスをするとアトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎のアレルギー反応が抑制されることを調べた大阪府寝屋川市の開業医、木俣肇医師がスロバキアの研究チームと医学賞を共同受賞するなど、数多く受賞している。16年9月22日に発表された第26回では、前かがみになって股の間から物を見ると実際より小さく見える「股のぞき効果」を実験で示した立命館大学の東山篤規(あつき)教授と大阪大学の足立浩平教授が知覚賞を受賞した。日本人の受賞は07年から10年連続で、これまでの受賞数は計22件となった。