船舶の操船などを行う船舶職員の一種。日本では、航海士として働くには、国家資格である海技士(航海)の試験に合格し、海技従事者の証である海技免状を取得することが必要。航海士には一等から三等の階級があり、それぞれに必要な等級の海技士(航海)免許を有し、所属企業などからの辞令を受けた者がなることができる。一等航海士は、船の甲板部の統括者で、港での貨物の積み下ろしの管理、船体整備作業の立案や実施などを担う。二等航海士は、航海計画の立案や海図の管理、レーダーや無線機器などの航海計器の管理・検査などを担う。三等航海士は、防火・救命設備の保守と整備、航海日誌の記録などを担う。いずれの航海士も、船の運航状況や周囲の船舶の動きを24時間監視する航海当直(ワッチ)に交代で立つ。当直時間は4時間ずつ、六つの時間帯に分割され、一等航海士は4~8時、16~20時、二等航海士は夜中の0~4時、12~16時、三等航海士は8~12時、20~24時を担当する。操船は操舵手が担当し、航海士が舵(かじ)を操作することはほとんどない。当直の航海士が肉眼やレーダーを使って周囲の状況を確認しながら、決められた進路を進むよう操舵手に操舵号令(操船指示)を出す。