ポリオや手足口病などを引き起こすエンテロウイルス属のウイルスの一種。感染しても症状が現れないこともあるが、発症すると発熱や鼻水、せきなど風邪に似た症状が現れ、重症の場合は呼吸困難や手足のまひなどが見られることもある。子どもを中心に、せきやくしゃみなどの飛沫(ひまつ)を通じて感染が広がる。2015年の夏から秋にかけて、風邪に似た症状が出た後、手足に原因不明のまひを起こす子どもが相次いだ問題で、厚生労働省の研究班は、16年8月29日中間報告を発表した。報告によれば、15年8~12月に全国で原因不明のまひの症状により入院した患者は95人で、そのうち外傷など他の原因とみられる患者を除く約60人が感染性の疑いのある「急性弛緩(しかん)性脊髄(せきずい)炎」の患者であるという。髄液などの検体を調べた患者の4分の1からD68が検出された。発症時期は15年9月がピークで、D68の流行時期と一致。まひを起こした患者の多くは5歳未満である。アメリカでも、14年8月~15年1月に同ウイルスによる感染症が大流行し、小児の重症呼吸不全症が1000例以上、報告された。