細菌など細胞に核を持たない原核生物と、ヒトを含む動植物など細胞核を持つ真核生物の中間に位置する、未知の細胞構造を持った生物。千葉大学真菌医学研究センターの山口正視(まさし)准教授らによる研究チームが発見、命名し、2012年9月に科学誌「ジャーナル・オブ・エレクトロン・マイクロスコピー」電子版で発表した。同チームが10年5月に八丈島の南約100キロ、深さ約1200メートルの海底を調査した際に採取した他の生物の脚に、長さ0.01ミリほどの単細胞微生物が付着しているのを発見。その細胞には、真核生物が持つ二重膜構造の核とは異なるものの、1枚の膜で囲まれた核のような核様体があることが分かった。また、真核生物と同様に、外部から細胞内に取り込まれた共生体と見られる構造も見つかった。従来、地球上の生物はすべて、原核生物か真核生物のどちらかに分類されると考えられてきた。しかし、両者の細胞構造の差異は大きく、どのようにして原核生物から真核生物が生まれたかなどは生物学上の大きな謎となっており、准核生物の発見は真核生物の起源を解明する手掛かりとして期待されている。