2014年7月30日から、台風11号、台風12号および前線などによって降り続き、広島市で土砂災害を発生させた記録的大雨の名称。台風12号の影響により、四国地方の太平洋側で8月1~5日までの総降水量が8月の降水量平年値の2~4倍の1000ミリ超を記録。続く台風11号により、四国から東海地方にかけての広い範囲で、8月7~11日までの総降水量が500~1000ミリの大雨となった。気象庁では地震、豪雨で大きな被害のあった自然現象に名称を付けている。豪雨では、損壊、浸水した家屋が1000棟程度に達するのが目安とされているが、今回は、浸水家屋が9000棟を超えたことから、同月22日に命名を決めた。気象災害で名称が付けられたのは、2012年の「平成24年7月九州豪雨」以来。なかでも、広島市安佐北区三入では同月19日夜から20日明け方にかけて、3時間降水量と24時間降水量の日最大値でそれぞれ通年の観測史上1位を更新する217.5ミリ、257.0ミリを観測。この豪雨により、広島市安佐南区、安佐北区で20日未明に大規模な土砂災害が起こった。報道などでは広島土砂災害と呼ばれている。両地区の少なくとも31カ所で同時多発的に土石流や崖崩れが発生。多くの家屋が流され、土砂に埋まり、多数の住人が生き埋めになった。9月9日時点で、死者は73人、行方不明1人となっている。広島県には花崗岩(かこうがん)が風化してできたまさ土の地盤が多く、山間部を切り開いて住宅地とした安佐北区は、1999年6月にも大規模な土砂災害が発生し、危険性が指摘されていた。