原子力発電所を建設、運転する電力会社に対し、原発の事故対策などを義務付けた規制基準。東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえ、原子力規制委員会が2012年10月に検討を開始し、13年6月19日に正式決定された。改正原子炉等規制法の規則として、同年7月8日に施行された。過酷事故(シビアアクシデント)対策では、原子炉の格納容器が放出された蒸気やガスの圧力で破損しないようフィルター付きのベント(排気)設備が必要になる。また、緊急時に原子炉を冷却するための電源車や消防車の配備、災害や航空機テロの発生に備えて通常の制御室以外に緊急時制御室を設置することも求められる。津波対策では、想定される最大規模の津波を基準として原発ごとに設定し、重要設備への浸水防止策を義務付けた。地震対策では、活断層の真上に原子炉建屋などを設置することを禁止。活断層の定義は以前と同様、12万~13万年前以降の活動を否定できないものとされたが、判断がつかない場合には40万年前以降までさかのぼった調査が必要になった。従来、各電力会社の自主的な努力とされてきた安全基準を初めて法制化したもので、施行後は基準を満たして国の審査に合格しないと稼働できない。また、既設の原発であっても常に最新の安全対策を取り入れることを義務付けるバックフィット制度も盛り込まれた。