湖の水中にたまった二酸化炭素(CO2)が大量に噴出する自然災害。火口湖の湖底から二酸化炭素を含んだ水が湧き出て湖水に溶けた状態で蓄積していき、何らかのきっかけで急激にガス化して起こると考えられている。その際、炭酸飲料のびんを振ったときのように、二酸化炭素が一気に気化して激しく噴出する。極めて珍しい現象だが、1984年にカメルーンのマヌーン湖で発生した例と、そこから約100キロメートル北の同国ニオス湖で86年に起こった例がよく知られる。どちらのケースでも、噴出した二酸化炭素がふもとの村に広がり、マヌーン湖周辺では37人、ニオス湖周辺では1746人もの住民が酸欠などにより死亡する惨事になった。現在でも、両湖の周辺での居住は禁止されており、住民は避難生活を余儀なくされている。ニオス湖の災害発生後、日本やアメリカなどの研究チームが調査を進め、その後、湖底付近まで届くパイプを設置して水中の二酸化炭素を除去する作業を実施。しかし、2013年7月に東海大学の大場武教授らがまとめた調査報告によると、湖水中の二酸化炭素濃度は再び高まっており、強制的に排出するポンプの設置など、さらなる再発防止策が必要だという。