何もない「ゼロ」の状態を認識して反応するサルの脳細胞。東北大学大学院の虫明元(むしあけはじめ)教授らの研究チームが発見し、研究成果が2015年5月22日にイギリスの科学雑誌「サイエンティフィック・リポーツ」オンライン版に掲載された。研究チームは、レバーの操作で画面に表示される白丸の数が増減する装置を使い、ニホンザルに足し算と引き算をさせる実験を実施。こうした課題を行っているサルの脳の活動を電気的に記録したところ、ゼロに強く反応する神経細胞が頭頂部で多数見つかり、ゼロ細胞と命名した。この細胞の中には、ゼロ以外には全く反応しない細胞(デジタルゼロ細胞)と、数が少なくなりゼロに近づくほど反応が強くなる細胞(アナログゼロ細胞)の2種類があることもわかった。何も存在しない状態のゼロと、数字の順列の中のゼロの両方を認識していると見られる。サルの脳でゼロという概念に反応する細胞の存在を確認したのは世界初。人が数を理解するメカニズムの解明につながることが期待されている。