2003年に日本の研究者らが新種として報告したヒゲクジラの一種。学名は「Balaenoptera omurai」。研究グループは、1998年に山口県の角島(つのしま)沖で漁船と衝突して死んだメスのDNA解析などを行い、2003年に新種と特定してイギリスの科学誌「ネイチャー」で発表した。和名は標本個体の発見地から名づけられ、学名はクジラ研究の第一人者だった故大村秀雄博士にちなんで命名された。また、1970年代後半にインド洋と太平洋の熱帯海域で日本の調査捕鯨によって得られた8体についても、同じ新種だったと明らかにした。ツノシマクジラはナガスクジラ科に属し、成体の体長は最大約12メートルと他のクジラよりも小さい。体の大部分は濃い灰色をしているが、あごに左右非対称の白黒模様があることなどが特徴。目撃例がほとんどなく、その生態には不明な点が多い。2015年11月、アメリカのニューイングランド水族館(マサチューセッツ州)などの研究チームが、マダガスカル沖で同種の生息を確認したとする論文を発表。野生個体の撮影にも初めて成功し、注目を集めた。