日本全国に生息するテントウムシ科の昆虫。学名は、Harmonia axyridis。体長は、約5~8ミリ。斑紋には黒地に赤の2紋、4紋など、さまざまなものがある。幼虫、成虫ともに野菜などの植物につくアブラムシをエサにしている。アブラムシの天敵であることから、生物や微生物を害虫や病害の予防・駆除に利用する生物農薬の一つとして注目されていた。しかし、ビニールハウスなどの栽培施設に放すと飛び去るため、効果が持続しない欠点があった。そこで、農業・食品産業技術総合研究機構の近畿中国四国農業研究センター(広島県福山市)は、飛ぶ能力の低い個体を選んで30世代にわたって交配させ、遺伝的に飛ぶ能力がないナミテントウを開発。2013年9月に茨城県稲敷市のメーカー、アグリセクトが生物農薬として登録し、14年6月16日、200頭の幼虫を封入した天敵製剤を、Ten-Top(テントップ)の商品名で販売開始した。アブラムシ退治には、さまざまな農薬が用いられるが、使っているうちに効かなくなってくる。そのため、農薬の使用に頼らない駆除方法としても期待されている。また、飛べない形質は劣性遺伝の交配を重ねたものであって、遺伝子組み換え技術を用いてはいないため、通常の飛べる個体と交配しても飛べない形質が発現する可能性は低く、生態系への影響も低い。