アメリカの非営利団体モジラ財団がモバイル端末向け基本ソフト(OS)として開発した「Firefox OS(ファイアフォックスOS)」を搭載したスマートフォン。同団体は、ウェブブラウザの「Firefox」やメールソフト「Thunderbird(サンダーバード)」などの開発元として知られる。「Firefox OS」は、ソフトウエアを自由に利用、改良できるオープンソースの考え方に基づき、2011年に開発が開始された。その最大の特徴は、アプリを制作するプログラム言語に、ウェブサイトなどで広く利用されているHTML5を採用したこと。アップルが開発した「iOS」や、グーグルが開発した「Android」では、アプリの開発にあたってそれぞれ独自のプログラム言語や技術が必要とされるが、「Firefox OS」では既存の技術を活用できるため、アプリ開発者が参入しやすい環境になっている。また、そうしたアプリは基本的にウェブブラウザ上で動作する仕組みのため、ハードウエアが高性能でなくても動作させやすい。そのため、既存のスマートフォンなどに比べて開発費を低く抑えることが可能で、新興国向けの製品に適しているとされる。海外では13年から同OS搭載のスマートフォンが発売されていたが、日本でも14年12月にauを運営するKDDI(本社・東京都千代田区)が一般消費者向けとしては国内で初めて、同OSを搭載したスマートフォン「Fx0(エフエックスゼロ)」を発売。「iOS」と「Android」の二つのOSによる寡占状態が続くスマートフォン市場において、ユーザーの新たな選択肢になりうるか、注目を集めている。