中国東南部や台湾を原産地とする偶蹄目シカ科の外来生物。学名はMuntiacus reevesi。体は茶褐色で、両目の下にある臭腺の開口部が目のように見えることからヨツメジカと呼ばれることもある。オスには12~15センチ程度の角と、上あごの犬歯が発達した牙がある。肩高約40~60センチ、体重約7~15キロと、体格はニホンジカと比べて小さい。日本国内では千葉県南部と東京都伊豆大島のほぼ全域で確認されており、いずれも、1960年代から80年代の間に、動物園や観光施設で飼育されていたものが逃げ出して野生化したと考えられている。繁殖力が強いのも特徴で、千葉県の調査によると、2006年度時点での同県内の推定生息域は570平方キロメートル、推定生息数は最大で約5400頭だったが、11年度には推定生息域が約1377平方キロメートル、最大推定生息数が約2万7000頭と約5倍に増加したという。急激な増加により、生息域周辺では農作物に対する食害や生態系への悪影響などの被害も拡大。05年6月に施行された特定外来生物被害防止法(外来生物法)でも特定外来生物に指定されており、千葉県などが防除計画を実施している。