アメリカの大手IT企業グーグル傘下のベンチャー企業であるディープマインド社が開発した、人工知能(AI)搭載のコンピューター囲碁ソフト。2016年1月27日、同ソフトが13~15年のヨーロッパチャンピオンで中国出身の樊麾(ファン・フイ)二段と対戦し5戦全勝したと、同社がイギリスの科学誌「ネイチャー」に発表した。AI囲碁ソフトが、正式なフルサイズの碁盤(19路盤)を使った対局でプロ棋士に勝ったのは世界初となる。従来の囲碁ソフトは、計算によって先の展開をシミュレーションし、勝つ確率が高い一手を選ぶ「モンテカルロ法」という手法が主流だった。しかし、囲碁の対局は展開パターンが10の360乗通り以上あることからプロ棋士に勝てず、アマチュア有段者レベルにとどまっていた。そこで、アルファ碁の開発チームは、膨大なデータや経験を学習して判断能力を高める「ディープラーニング(深層学習)」と呼ばれる手法を採用。計算量を大幅に減らして、最も有利な手を効率的に読むことに成功した。日本のソフト「ZEN」をはじめ、五つの市販ソフトとも対戦し、495戦494勝と圧勝。16年3月には、世界トップクラスの棋士である韓国の李世●(イ・セドル、●は石かんむりに乙)九段と、賞金100万ドル(約1億2000万円)をかけて対戦することとなり、注目を集めている。