刺胞動物の仲間で、硬い骨格を持つサンゴのうち、宝飾品に用いられるものの総称。八放サンゴ亜綱ヤギ目サンゴ科に属し、世界で8種類が漁獲、利用されている。サンゴ礁を形成する造礁サンゴとは種類や生態が全く異なり、一般に扇形をした樹状で、海底の岩などにくっついている。地中海や日本、台湾近海などの水深数十メートルから2000メートルほどの深海に生息しており、非常に長い時間をかけて成長する。日本では、相模湾より南の水深約100~300メートルの海にアカサンゴ、モモイロサンゴ、シロサンゴが分布し、高知県、鹿児島県、沖縄県などで漁獲されている。成長が遅い宝石サンゴは、乱獲されると資源の回復に時間がかかる。そのため、野生動物の種の国際取引に関するワシントン条約では、国際取引を規制しなければ絶滅のおそれがあり、取引の際に輸出国の許可書などが必要となる生物を対象とした附属書IIへの掲載の是非が議論されている。日本では、高知県が2012年3月から禁漁期間を年間4カ月に拡大し、操業時間も短縮するなど宝石サンゴ漁の規制を強化した。中国では国内法でサンゴの採取を禁止しているが、特にアカサンゴが魔除けなどに珍重されることもあって、14年春ごろから、小笠原諸島周辺で中国船による宝石サンゴの密漁が頻発し、9月に急増。海上保安庁などが、取り締まりを強めている。