直径が0.5ミリメートル以下の微細なプラスチック粒子。ポリエチレンやポリプロピレンといった石油化学物質で作られていることが多い。古くなった皮膚の角質や汚れを取り除く効果があることから、洗顔料や歯磨き粉、化粧品などに広く用いられる。日本では、1980年代にマイクロビーズ入りの洗顔料がヒット商品となり、スクラブとして知られるようになった。しかし、自然界では分解されず、下水などに流した粒子がそのまま川や湖に流入し、水質汚染の原因になると指摘されている。また、毒素やポリ塩化ビフェニル(PCB)などの有害物質を吸着する性質があるため、マイクロビーズを食べた魚を人間が食べることにより、人体に毒素や有害物質が蓄積されていく危険性もある。2012年ごろからこうした危険性が指摘され始め、同年、日用品大手のユニリーバ(イギリス、オランダ)が、マイクロビーズを含む商品を排除すると発表し、翌13年にはプロクター&ギャンブル(P&G、アメリカ)、ロレアル(フランス)などの化粧品会社も、同様の方針を示した。オランダでは、16年中にマイクロビーズ商品を国内から排除する方針をいち早く打ち出した。アメリカでも15年10月までに、カリフォルニアなど九つの州でマイクロビーズを禁止する法律を制定。連邦議会も、15年12月にマイクロビーズの使用を禁じる「マイクロビーズ除去海域法」を可決。17年7月から原則として製品への使用を禁止し、18年7月からはマイクロビーズを含む製品の販売も禁止する。日本の周辺海域は、近隣のアジア諸国から出るマイクロビーズなどが集まることで知られ、政府も14年に調査を行うなど問題を認識している。しかし、具体的な規制の動きなどはまだなく、早急な対応が求められている。