地盤を冷却して凍らせ、地中に人工的な凍土の壁を造る工法。凍土遮水壁とも呼ばれる。東京電力福島第一原子力発電所における汚染水流出対策として、政府の汚染水処理対策委員会が大手ゼネコンの提案をもとに、2013年5月に東京電力に設置を指示した。提案では、長さ20~40メートルのパイプを原子炉建屋の周囲約1.4キロメートルにわたって1メートル間隔で垂直に埋設。その内部に氷点下40度以下の冷却液を循環させることで、周囲の地盤を凍結させて壁を造成する。それにより、1日400トン程度と推定される、建屋への地下水の流入を防ぎ、汚染水の増加を抑制するとしている。また、コンクリートなどで壁を設置するのに比べて、工期が短くできるうえ、地震などで壁が破損した場合も再度凍らせることで容易に修復できるという。ただし、こうした方式はトンネルの補強工事などで使用された例はあるものの、これほど大規模に、かつ長期にわたって運用された実績はなく、技術的な実現性や実効性については疑問も呈されている。13年9月には、設置に必要な費用約320億円を国が全額負担することが決定。当初は15年夏としていた稼働開始の時期も前倒しして、14年度中の完成を目指す。