神奈川県と静岡県の県境に位置し、二つのカルデラと中央火口丘からなる三重式火山。中央火口丘は、標高1438メートルである主峰の神山(かみやま)や駒ヶ岳などの火山群からなる。気象庁が24時間体制で観測・監視を続けている47の常時観測火山の一つである。同山の火山活動が始まったのは、約50万年前頃。最後のマグマ噴火は約3200年前に神山で発生し、その際の水蒸気爆発によって同山の北西部が破壊され、溶岩流によって早川がせき止められたことにより、芦ノ湖が形成された。また、冠ヶ岳もこの時に誕生した。約3000年前、約2000年前、12世紀後半~13世紀に水蒸気爆発が認識されている。昭和以降は、火山性の群発地震がたびたび観測されてきた。同山では、2015年4月下旬から火山性地震が増加。5月3日以降、大涌谷(おおわくだに)の温泉設備から噴出する蒸気が強まり、6日に同庁が噴火警戒レベルを2(火口周辺規制)に引き上げた。その後、6月29日夜から翌30日にかけて、大涌谷で小規模な噴火が発生。同庁は水蒸気爆発の可能性が高いと発表し、噴火警戒レベルを2から3(入山規制)に引き上げた。神奈川県箱根町では、火口から半径約1キロに避難指示を出した。