2016年8月19日に八丈島近海で発生した台風10号は、同月30日に岩手県大船渡市付近に上陸。気象庁が1951年に統計を取り始めて以来、台風が東北地方の太平洋側に上陸したのは初めてとなる。その後、日本海に抜けて温帯低気圧に変わったが、岩手県や北海道では甚大な被害が発生した。岩手県宮古市、久慈市では1時間に80ミリの猛烈な雨となり、北海道上士幌町では8月28日0時から31日24時までに平年の8月1カ月の雨量を超える355ミリという記録的な大雨となった。また、最大瞬間風速も、岩手県宮古市で37.7メートル、北海道せたな町で36.5メートルと、暴風に見舞われた。岩手県岩泉町では、高齢者グループホームの入所者9人が濁流に飲み込まれて死亡するなど、9月12日時点で、岩手県での死者は20人、行方不明4人、北海道での死者は2人、行方不明2人となっている。また、同日時点で、岩手県では住宅10棟が全壊、61棟が半壊、51棟が一部破損、床上浸水679棟、床下浸水733棟の被害が発生。被害総額は、北海道では同月7日時点で610億円、岩手県では10日時点で814億円に上る。被害状況の調査が進めば、今後さらに増えるものと見込まれている。この台風の被害は、北海道の農作物や岩手県の漁業にも及んでおり、食卓への影響も心配されている。なお、台風10号は、北西太平洋または南シナ海で発生する台風の観測、災害防止を行う国際組織である台風委員会(日本など14カ国・地域が加盟)が、00年以降、参加各国語で命名している台風の国際名から「ライオンロック」と名付けられた。これは香港が命名したもので、香港にある獅子山が由来。