宇宙航空研究開発機構(JAXA〈ジャクサ〉)が2014年12月に打ち上げた小惑星探査機「はやぶさ2」が目指す地球接近小惑星(NEO)の名称。1999年5月にアメリカの小惑星研究プロジェクトチーム「LINEAR(リニア)」が見つけ、発見年などに由来する「1999JU3」という仮符号がつけられた。地球から約3億キロメートルの距離にあり、直径約900メートルで形は球状に近い。地球と火星の間を通る軌道を描いて約1.3年の周期で太陽の周囲を公転している。この小惑星には水や有機物を含む物質があると推定されており、生命の起源を探る手がかりとなることが期待されて2006年10月に「はやぶさ2」の目的地に選ばれた。13年8月、「はやぶさ2」プロジェクトが小惑星の名称を提案させてほしいと「LINEAR」に申し入れて了承されたことを受け、15年7~8月にJAXAが名称を公募し、7336件の応募の中から「Ryugu」を選定した。昔話の「浦島太郎」にちなんだ名称であり、地球接近小惑星の命名に際し国際天文学連合(IAU、本部・パリ)が慣例として規定する「神話由来」の名称に該当すること、竜宮城から玉手箱を持ち帰る物語が、小惑星の試料を持ち帰る「はやぶさ2」のイメージと重なること、小惑星に水を含む物質があると期待されており、水を想起させる名前であること、などが理由という。同年9月、JAXAの依頼を受けて「LINEAR」がIAUに提案。翌10月にIAUの関連組織である「マイナー・プラネット・センター」の小惑星リストに掲載された。