筑波大学発のベンチャー企業であるサイバーダイン(本社・茨城県つくば市)が開発した、世界初の装着型身体機能補助ロボットスーツ。スーツはフレームとセンサー、モーターなどで構成されており、装着者が身体を動かそうとしたときに、脳から筋肉へと流れる微弱な信号を皮膚表面で感知し、認識した動きに合わせてモーターがフレームを動かす。それによって、装着者の意思に沿った動きをアシストし、より大きな力を出せるようにする。さらに、脳・神経系への運動学習を促すこともできる。全身に装着するHAL災害対策用(研究開発段階)や、腕や足に装着する自立支援用(単関節タイプ)、福祉用(下肢タイプ)、介護支援用(腰タイプ)などさまざまなタイプがある。このうち、ロボットスーツHAL医療用(下肢タイプ)は、患者に装着して下肢の動作を補助し、歩行運動を繰り返すことで歩行機能を改善する機能がある。脊髄(せきずい)性筋萎縮症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、先天性ミオパチー、筋ジストロフィーなどの神経・筋難病の患者がHALを使用することで、筋委縮や筋力低下を抑制する効果を期待しうるとして、2013年3月から治験を開始。国立病院機構新潟病院など全国の医療施設10カ所で実施した。15年2月に治験結果がまとまり、サイバーダインが薬事申請をした結果、11月に新医療機器として承認された。公的医療保険に関しては、15年10月に申請し、16年1月、厚生労働省の中央社会保険医療協議会によって、HALへの適用が決定した(適用開始は16年4月予定)。患者の歩行機能を改善するロボットに保険が適用されるのは初めて。推定適用患者数は3400人を見込んでいる。