アメリカ大陸原産のアカミミガメ(カメ目ヌマガメ科)の幼体を指す通称。幼体は甲羅が緑色をしているため、こう呼ばれる。日本でミドリガメと呼ばれるものの大半はミシシッピアカミミガメだが、ほかにもキバラガメなどの亜種がいる。ミシシッピアカミミガメの幼体は甲羅の長さが5センチ程度だが、成体は最大甲長28センチメートル程度になる。和名は、頭部両側面の赤い模様に由来する。河川や湖沼、人工的な池、水路など、さまざまな水域に生息し、水生生物や水草などを食べる。繁殖力が強く、汚染された水質への耐性も高い。日本では1950年代にペットとしてアメリカから幼体の輸入が始まり、ペットショップや縁日の屋台などで大量に販売されるようになった(2013年時点の推計飼育数は約180万匹、環境省調べ)。頑健で飼育しやすい一方、長命で30年ほど生き、大きく成長するため、飼育しきれなくなった飼い主が川などに遺棄するケースが多発。1960年代後半から野生化した個体が見つかり、日本各地に生息域を拡大させた。在来種のクサガメやニホンイシガメとは、科が異なるため交雑の恐れはないが、生息域から駆逐するなど生態系に影響を与えており、2014年の日本自然保護協会の調査では、全国で捕獲した淡水ガメのうち、64%をミシシッピアカミミガメが占めた。また、農作物の食害も報告されている。ミシシッピアカミミガメは、国際自然保護連合(IUCN)では「世界の侵略的外来種ワースト100」に、日本生態学会では「侵略的外来種ワースト100」に指定されている。また、外来生物法では要注意外来生物とされる。15年7月には環境省がミシシッピアカミミガメについて、いずれ特定外来生物に指定し、20年をめどに輸入を禁止すると発表。販売や飼育も段階的に規制し、野生化した個体の駆除も進めるとした。