福井県勝山市で見つかったイグアノドン類の新種の恐竜の学名。北陸地方の古称である越の国と化石の発掘場所がある同市にちなんで名付けられた。2008年の調査で、同市北谷町の白亜紀前期(約1億2000万年前)の地層からイグアノドン類と見られる恐竜の右上顎骨(じょうがくこつ)、左大腿骨(だいたいこつ)など、5点の化石が発掘された。福井県立恐竜博物館の柴田正輝研究員らが、以前に近くの地層から見つかり、03年にイグアノドン類の新種と認められたフクイサウルス・テトリエンシスとは異なる可能性が高いとして調査を開始。その結果、化石は3歳以上の子どもで体長が約3メートルと推定され、上顎骨の内側の歯が角張っており、目が入る穴の前部に前眼窩窓(ぜんがんかそう)と呼ばれるくぼみがあるといった特徴からフクイサウルスとは異なる新種であると判断した。15年1月、国際動物学誌「ズータクサ」電子版に柴田研究員らの論文が掲載され、イグアノドン類の新属新種であることが認められた。日本国内で発見され学名が付いた恐竜は6例目で、そのうち4例が福井県で発見されている。